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自己破産で手元に残せる財産はどれぐらいですか?

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(2022.10.26更新)

1 自己破産で手元に残せる財産

破産手続開始決定が出されると,その時点で保有する資産は一部例外を除き破産財団に属することになり,破産管財人の管理下におかれることになります。

破産開始決定時に保有する財産については破産管財人の管理下におかれることになりますが,自由財産や破産開始決定後の収入等については破産管財人の管理下におかれることはなく,自由に処分することが可能です。


以下では,破産開始決定時に保有していた財産のうち,自由財産として手元に残せる財産について説明します。


2 同時廃止の場合

同時廃止とは,破産手続き開始の決定と同時に破産手続き廃止の決定をする場合のことをいいます(破産法216条)。


破産法

(破産手続開始の決定と同時にする破産手続廃止の決定)

第二百十六条 裁判所は、破産財団をもって破産手続の費用を支弁するのに不足すると認めるときは、破産手続開始の決定と同時に、破産手続廃止の決定をしなければならない。

 前項の規定は、破産手続の費用を支弁するのに足りる金額の予納があった場合には、適用しない。

 裁判所は、第一項の規定により破産手続開始の決定と同時に破産手続廃止の決定をしたときは、直ちに、次に掲げる事項を公告し、かつ、これを破産者に通知しなければならない。

 破産手続開始の決定の主文

 破産手続廃止の決定の主文及び理由の要旨

 第一項の規定による破産手続廃止の決定に対しては、即時抗告をすることができる。

 前項の即時抗告は、執行停止の効力を有しない。

 第三十一条及び第三十二条の規定は、第一項の規定による破産手続廃止の決定を取り消す決定が確定した場合について準用する。


同時廃止となった場合,財産がないという理由で同時廃止になるので,破産管財人を選任して財産を換価するという手続はなく,手元にある財産をそのまま残しておくことができます。


そこで,どのような場合に同時廃止になるのかが気になると思いますので,大阪地裁で運用されている同時廃止事件と破産管財事件との振分基準を見ていきます。なお,この基準は申し立てる裁判所によって異なってきますので注意が必要です。


同時廃止事件と破産管財事件との振分基準(大阪地裁の場合)

① 現金及び普通預貯金(以下「現金等」といいます。)とその他の財産(以下「個別財産」といいます。)との区分け

 債務者が申立て時に所持している財産を,現金等と個別財産とに分ける。

② 現金等の取扱い

 現金等は,同時廃止事件の申立書及びその添付書類において,所持額の合計が50万円を超えると認められる場合には,同時廃止事件としての処理を許容しない。

③ 個別財産の取扱い

 個別財産は,12項目に分類し,個別財産ごとの評価基準によって算定される実質的価値が合計20万円以上となる個別財産の項目がある場合には,同時廃止事件としての処理を許容しない。

④ 直前現金化の取扱い

 振分基準上は,実質的危機時期以降に個別財産を換価して破産手続開始の申立て時には現金等として所持していたとしても,換価前の個別財産とみなすことはしない。


破産管財手続への移行が検討される類型

振分基準によると同時廃止事件としての処理が許容される場合であっても,個人事業者型,資産等調査型,否認対象行為調査型,法人代表者型(法人並存型),免責観察型といった類型に当てはまるときは,破産管財手続への移行が検討されることがあります。


したがって,現金等の所持額が50万円以下であり,その他の財産も20万円以下のものしか所持していないという状態であれば,同時廃止手続を選択することができる可能性があります。ただし,20万円以下の財産を多数有しているという場合には,破産管財事件への移行が検討されることになりますので,注意が必要となります。

また,財産の基準を充たしていたとしても,破産管財手続への移行が検討される類型に当てはまっている場合には,破産管財手続に移行する可能性が高いと思われます。


3 管財事件の場合

管財事件の場合には,99万円までの現金と差押禁止財産が法定自由財産となり,手元に残すことが可能となります。

管財人の管理下におかれる財産は、破産開始決定時に所有していた財産となりますので(破産法34条1項)、破産開始決定以降に取得した財産は、「新得財産」として手元に残すことができます。

また,自由財産拡張が認められれば,99万円を超える財産であっても手元に残すことが可能な場合があります。


本来的自由財産

99万円以下の現金は自由財産となりますので,そのまま保有することが可能となります(破産法34条1項1号)。

普通預貯金についても,現金と同視されますので,現金及び預貯金については99万円まで手元に残すことができます。

ただし,支払いが難しくなった時期以降に現金以外の財産を現金化した場合は,原則として現金とは扱われず,現金化される前の性質を有する財産として考えられます。


差押禁止財産

差押禁止財産(破産法34条3項2号)についても,自由財産となりますので,手元に残すことができます。

差押禁止財産としては一例として以下のものが挙げられます。

民事執行法上の差押禁止動産(民事執行法131条)

 生活に欠かすことのできない衣服・寝具・家具・台所用品・畳・建具

 実印や職業・生活に欠かすことのできない印鑑

 仏像・位牌など

民事執行法上の差押え禁止債権(民事執行法152条)

 手取り給料の4分の3(上限33万円まで)

 手取り24万円の給料であれば、18万円まで手元に残すことができます。
特別法上の差押禁止財産

①年金受給権(国民年金法24条,厚生年金保険法第41条,国家公務員共済組合法48条)

②小規模企業共済(小規模企業共済法15条)

③中小企業退職金共済(中退共)(中小企業退職金共済法20条)

④平成3年3月31日以前に効力が発生している簡易生命保険の保険金又は還付金請求権(平成2年改正前の旧簡易生命保険法50条)

⑤各種の保険給付受給権(健康保険法52条・健康保険法61条)

⑥高額医療費の支給(健康保険法52条⑨)

⑦家族埋葬料の支給(健康保険法52条⑦)

⑧生活保護受給権等(生活保護法58条)

⑨失業等給付受給権(雇用保険法11条)

⑩労働者の補償請求権(労働基準法83条2項)

⑪交通事故の被害者の直接請求権(自動車損害賠償保障法16条1項・自動車損害賠償保障法18条)

⑫確定給付企業年金(確定給付企業年金法34条1項)

⑬確定拠出年金(確定拠出年金法32条1項)個人型年金については確定拠出年金法73条において準用されます。

⑭社会福祉施設職員等退職手当共済法に基づく退職金(社会福祉施設職員等退職手当共済法14条)

性質上の差押禁止財産

⑮地方公務員等共済組合法に基づく給付(地方公務員等共済組合法51条)

⑯一身専属性を有する権利で,その性質上差押えの対象とならない財産(ex.慰謝料請求権等)


自由財産拡張

大阪地方裁判所での自由財産拡張制度の運用基準は下記のとおりとされています。

下記の要件を充たす場合には基本的には99万円までの財産の保有が認められることになります。


1 拡張の判断の基準

 拡張の判断に当たっては,まず①拡張を求める各財産について後記2の拡張適格財産性の審査を経た上で,②拡張適格財産について後記3の99万円枠の審査を行う。なお,99万円を超える現金は,後記2の審査の対象とはならず,後記3の99万円枠の審査の対象となる。


2 拡張適格財産性の審査

 (1) 定型的な拡張適格財産

 以下の財産は,拡張適格財産とする。

 ①預貯金・積立金(なお,預貯金のうち普通預金は,現金に準じる。)

 ②保険解約返戻金

 ③自動車

 ④敷金・保証金返還請求権

 ⑤退職金債権

 ⑥電話加入権

 ⑦申立て時において,回収済み,確定判決取得済み又は返還額及び時期について合意済みの過払金返還請求権

 (2) (1)以外の財産

 原則として拡張適格財産とならない。

 ただし,破産者の生活状況や今後の収入見込み,拡張を求める財産の種類,金額その他の個別的な事情に照らして,当該財産が破産者の経済的再生に必要かつ相当であるという事情が認められる場合には,拡張適格財産とする(相当性の要件)。

 (3) 手続開始時に財産目録に記載のない財産

 原則として拡張適格財産とならない。ただし,破産者が当該財産を財産目録に記載していなかったことにつきやむを得ない事情があると認められる場合については,その財産の種類に応じて(1)又は(2)の要件に従って拡張適格財産性を判断する。


3 99万円枠の審査

 (1) 拡張適格財産の価額の評価

 原則として,時価で評価する。

 ただし,敷金・保証金返還請求権(前記2(1)④)は契約書上の金額から滞納賃料及び明渡費用等(原則として60万円)を控除した額で評価し,退職金債権(同⑤)は原則として支給見込額の8分の1で評価し,電話加入権(同⑥)は0円として評価する。

 (2) 現金及び拡張適格財産の合計額が99万円以下の場合

 原則として自由財産拡張相当とする。

 なお,後記(3)の場合に99万円超過部分に相当する現金を破産財団に組み入れることにより,財産の評価額を組入れ額分低減させ,実質的に拡張を求める財産の額を99万円以下とすることが可能である。

 (3) 現金及び拡張適格財産の合計額が99万円を超える場合

 原則として,99万円超過部分について自由財産拡張不相当とする。

 ただし,破産者の生活状況や今後の収入見込み,拡張を求める財産の種類,金額その他の個別的な事情に照らして,拡張申立てされた99万円超過部分の財産が破産者の経済的再生に必要不可欠であるという特段の事情が認められる場合には,例外的に自由財産拡張相当とする(不可欠性の要件)。

 →当事務所で99万円を超える自由財産の拡張が認められた事例はこちら


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この記事を書いた弁護士


弁護士 谷 憲和(大阪弁護士会所属)


弁護士登録以来10年以上にわたって,債務整理・自己破産・個人再生を取り扱っています。

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