債務整理の手続きを進めていく際、信販会社のローンで自動車を購入していて、 その自動車のローンの扱いが問題になることがあります。
銀行のオートローン以外は通常、ローンで購入している場合の所有者名義はローン会社になっており、その自動車の使用者がローンを組まれている方になっています。債務整理をする場合、なぜ自動車ローンが問題になるのでしょうか?
ローンを組んで自動車を購入した場合、そのローンの債務整理をしてしまうと、ローン会社はその自動車を回収し、自らの債務に充てることになります。
しかし、自動車を購入されているということは、自動車を利用したい、もしくは、自動車が必要な方なので、自動車が回収されてしまうと問題になってしまうのです。そのようなご依頼者は自動車を残したいという希望が多く、その場合は任意整理を選択することとなり、他の債務整理手続き(自己破産など裁判所を利用した手続き)が利用しにくく債務整理の障害になってしまうのです。
また、自動車ローンは利息制限法の範囲内の金利での契約ですが、比較的金利は高い部類に入るローンであり、短期間で支払い終えるような契約になっています。
債務整理をしても任意整理で自動車ローンを残してしまうと、残った借入れを支払いしていく場合に、そのローンの支払い額が大きく負担になって、他の支払いにも影響してしまうのです。
今までの事例ですと、他の借入れは任意整理で債務整理をおこない、自動車ローンについては、今までどおり支払いしていくことを選ばれる方が多い傾向にあります。
この自動車ローンの扱いは非常に難しく、任意整理以外の債務整理手続きでは、自動車は生活必需品とみなされずに処分の対象になったり、自動車ローンも他の借入れと同じように債務整理の対象になってしまうことがあります。
自動車をどうしても必要とされる方は、必然的に任意整理の手続きを進めていく場合が多くなってしまいます。
しかし、その自動車ローンの月々の支払いが大きいので、自動車ローンが障害になり、返済計画を建てることが難しくなったり、その時点では支払いができていても、結局、支払いが遅れたりして、他の借入れを任意整理で債務整理をして和解した分まで台無しにしてしまい、自己破産の申立てをすることとなってしまうことすらあります。
自動車が絶対に必要な方は仕方ないですが、さほど必要性のない方は自動車ローンも一緒に債務整理するべきではないでしょうか。
田舎の僻地であればともかく、大都市圏では公共交通網が整備されており、絶対に必要なものかといえばそうでもないのではないかと思います。
大都市圏で自動車を所有するということは、いわば贅沢品の部類に入り、その自動車を維持するために、ガソリン代や車庫代、税金や車検など、自動車を所有しているがゆえのコストがかかってしまいます。
その額は年間ベースで考えると全体の支出の中に占める割合がかなり高いものとなっているはずです。
自動車を所有することによる将来に渡るコストは約3,000万円とも言われ、これはマイホーム購入に次ぐ大きな支出であり、そのコストがなければもっと支払いが楽になるはずです。
債務整理をしなければならいぐらいの債務超過に陥っているのですから、なるべく身軽になることが望ましく、絶対的な必要性がないのであれば、自動車は処分し、その分を支払いに充て、1日も早く借入れを支払い終えることが重要だと私たち弁護士は考えています。