債務整理をして、そのことで借入れができなくなるのが嫌だというお話をよくお聞きします。
そういう方に私がお話するのは、「借入れがあったからこそ、その支払いのために借入れが必要だったのではないですか?」「借入れが少なくなって、今より支払いが少なくなったり、借入れそのものがなくなってもまだ借入れしなければならないですか?」といった内容のお話をさせていただいています。
多くの方は「そうなったら借入れをする必要はない」とおっしゃられますが、やはり借入れができなくなるということに抵抗感はかなりあるようです。
私たち弁護士は、「将来、まだ借入れが必要になった訳でもないのに、そのことを気にして、現時点で支払いが難しいのにも係わらず、現状の問題を解決しようとせず、この今を犠牲にする必要はない」と考えています。
債務整理をすれば、今抱えている借入れ問題は解決できる可能性が大きくあります。
現時点での問題は借入れが原因となって発生しているものなので、「借入れをする=借入れ問題を抱える」ということになります。
今債務整理をして、将来再び借入れをして、今と同じように借入れ問題で悩むようなことを繰り返されるおつもりですか?
借入れをするということは、将来、自分自身に入ってくるであろうというお金を先使いしているだけなのです。
当然、その借入れに金利が付けば、負担は大きくなり、ひょっとしたら、将来入ってくる予定のお金を既に上回る借入れをしているかもしれませんし、予定していたお金自体が入ってこないかもしれないのです。
債務整理というのは一種の救済措置のようなもので、債務超過に陥った方を再生させることを目的とし、一生のうちに、そう何度も経験するようなことではありません。
将来、あるかどうかもしれない借入れ行為を気にするあまり、今の無理な支払いを続けていくのは得策ではないのです。
ましてや、改正貸金業法の完全施行により借入れ行為に対して様々な規制がかかっている今、この先無理な支払いを続けて、運よく完済までこぎつけたとしても同等の金額を借入れすることは困難ではないかと思われます。もう借入れ自体ができなくなった時代に突入したのです。
借入れをすれば、本来であれば何年も貯金をして手に入れるようなものが、すぐに手に入ります。
それは物であったり、やりたかったことであったり、何でも叶う夢のような魔法のカードだと勘違いされている方が多いかもしれません。
しかし、借入れをして何かを手に入れたツケは1ヶ月後からの支払いという形で回ってきます。
しかも金利という余分なものまで付けて… だから借入れはしないにこしたことはないのです。
借入れをしなくても自分自身の収入の範囲でやりくりができるはずで、少し我慢をしてお金を貯めれば、家を購入するなどの特殊なこと以外は大抵実現可能なものなのです。もし自分自身の収入の範囲でやりくりができないのであれば、それは収入の額に問題があるので、借入れをしても何の問題解決にもなりませんし、単に借入れ問題が発生するだけのことです。
私の知人で信販カードも含めてクレジットカード類は1枚も持っていない方がいらっしゃいますし、その周りにもカードを持っていないという方が結構いらっしゃいます。これはすなわち、借入れをしなくても生活は十分成り立つということです。
その知人はいわゆる現金主義者で、「クレジットカードがあったら必然的に借入れが発生することになるから、カードは作らない」そうです。
私は意味がよく分からなかったのでよく話を聞いてみると、「カードを使用したら、翌月一括払いの支払いにしても翌月に入ってくるお金を先使いすることになるから借入れには変わりない。
もし何か不測の事態が発生してお金が入ってこなかったらどうするのだ?その時にリボ払いにしたら、まさに借入れそのものだ。
だからカードはいくら便利がよくても、自分の支払い能力を超えてしまう可能性があるからカードは絶対作らない。」とおっしゃられます。
そして、大きな買い物をする場合には、当然そんなお金はないので、そのお金を貯めて購入するようにしているそうです。
(話を聞いて妙に納得したので、私もそれからはカードの使用はしないことにしています。少しぐらい不都合があるかと思っていましたが、私は今のところ何の不都合もなく生活を送ることができています。ですから、私自身の実体験からも「カード=借入れ」は必要なものではないと考えており、借入れができなくなるということを気にしすぎることではないと私自身は思っています。)