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個人再生でやってはいけないことー失敗例を踏まえて

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民事再生法には、個人再生をする場合の棄却事由、不認可事由として様々なものが定められています。

詳しく説明するとそれだけで長くなってしまいますので、ここでは解説はしませんが、個人再生が認可されない場合の記事なども参考にしてください。

条文でいうと、民事再生法25条、230条、231条、237条、241条の規定が棄却事由、不認可事由を定めたものになります。


それでは、個人再生で多く問題になっている不認可事由を基に、やってはいけないことを説明していきます。

事例については、月刊大阪弁護士会に掲載されていたものを引用しております。


1 小規模個人再生における議決権総額の2分の1を超える議決権者の不同意

小規模個人再生で認可に至らなかった事例の多くは、議決権総額の2分の1を超える議決権者の不同意により、再生手続が廃止になったというものになります(民事再生法237条)。

簡単に言うと、総債権額の2分の1を超える債権額の債権者が反対をしたということになります。

裁判所からも、総債権額の2分の1を超える債権者がいる場合には債権者に対して反対をしないかどうか意見を聴いたかという確認をされますし、私たちも確認を取る場合が多いです。

了解が得られていれば小規模個人再生の申立てを行いますし、了解が得られない場合には給与所得者等再生に切り替えることも考えないといけません。


また、一般の消費者金融では反対してくるところは少ないですが、これまでの取引の内容によって対応が変わってくる場合があります。

たとえば、度々返済が遅れているとか、申立ての直前に大口の借り入れをしたとか、債権者からの問い合わせに真摯に対応せず、虚偽の内容を告げるなどした場合には、債権者からの信頼をなくし、小規模個人再生でも反対に回るという可能性があります。

したがって、債権者との取引について、真摯に対応していく必要があります。


次に、総債権額の2分の1を超える債権者が出ないようにするため、①特定の債権者に偏頗弁済をしたり、②他の債権者からの借入れを増やして、特定の債権者の議決権割合を下げたりすることも考えられます。

しかし、①偏頗弁済は、債務者としての公平性実義務(民事再生法38条)に反しますし、25条4号違反として申立てが棄却されることにもなってしまいます。

したがって、偏頗弁済をすることはしないようにしてください

なお、第三者が直接第三者弁済をする場合には偏頗弁済の問題にはなりませんので、協力が得られる場合には協力をお願いすることも考えられます。

また、②他の債権者からの借入れは、支払不能後の借入れということで問題がありますし、履行可能性にも疑義が生じてきます。また、不要な借入をするということで、25条4号違反として申立てが棄却されることにもなりかねません。

したがって、支払不能後に借入をすることもないようにしてください


2 家計収支表では住宅ローンなどをきちんと支払い、積立てもやっていたことになっているが、通帳を見ると、積立てができていなかった場合

裁判所から積立てができなかった理由について聞かれても虚偽の説明をし、裏付資料も提出されなかったため、申立てが棄却されました。

積立てについては、履行可能性を確認するために必要なものになりますので、必ず積立てをしていかなければなりません。

したがって、積立てができないことはないようにしてください。また、積立てができない理由があった場合には、正直に弁護士に相談していただければと思います。


3 積立金を取り崩していた場合

積立金を取り崩した理由について裁判所から確認されましたが、必須のものではなく、家計収支表も赤字が続いていたため、自ら再生計画の遂行を断念し、不認可となりました。

積立金を取り崩すことは絶対にしてはいけませんし、家計収支の上でも積立てをしたうえできちんと生活ができる体制を取っていく必要があります。

家計収支表については毎月提出していただくため、大変かもしれませんが、個人再生の認可を受け、新生活を始めるためには必須のものとなりますので、ご協力をお願いします。


4 同居の家族の協力が得られない場合

同居の家族が口座からお金を引き出し、使途不明金が生じてしまう、配偶者がお金を管理し、申立人が管理することができない、などの問題があることがあります。

多額の使途不明金が生じてしまうと、最終的に再生不認可となる可能性がありますし、家族の協力が得られない場合には、家計管理ができず、履行可能性が判断できない結果、再生不認可となってしまう場合があります。

したがって、家族の協力が得られない場合には家族の協力が得られるようにしていく必要がありますし、弁護士としても説明には協力させていただきます。また、家族の協力を得ることが困難であっても、きちんとお金の動きが把握できる体制を作っていく必要があります。


5 離職と就職を繰り返す場合

このような事例も最近増えているようです。

再生計画認可後は、3年以上は継続的に収入を得て、再生計画案にしたがった支払いを継続していく必要があります。

離職を繰り返すと、履行可能性を慎重に判断しなければならなくなり、再生不認可となってしまう場合があります。

したがって、短期間に離職を繰り返すようなことはしないでください。また、仕事を掛け持ちするなどして無理をして働いたり、長期間の労働に不安のある場合もあるかもしれませんが、健康を害してしまっては返済を続けることもできませんので、無理のない計画を立てることも必要です。


6 まとめ

個人再生が棄却や不認可となった事例を基に、個人再生でやってはいけないことを説明してきました。

債権者には真摯に対応する偏頗弁済をしない支払不能後に新たな借入れはしない積立てをきちんと行う家族の協力を得てお金の動きを把握する離職と就職を繰り返さないということが重要になってきます。

やはり、基本となってくるのは、家計を管理し、積立てをしたうえでも返済を続けていくことができるのかどうかということになってきます。

そこをきちんとしておけば、裁判所からの質問にも誠実に対応することが可能ですし、個人再生が不認可となる可能性もかなりすくなくなります。

家計簿の作成方法や、家計のチェックについても個人再生の申立ての中できちんと説明させていただきます。

ご不明な点があれば、お気軽にお問い合わせください。


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この記事を書いた弁護士


弁護士 谷 憲和(大阪弁護士会所属)


弁護士登録以来10年以上にわたって,債務整理・自己破産・個人再生を取り扱っています。

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