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【個人再生裁判例紹介】認可決定確定後に訴えの利益が認められた事例

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1 判示事項

給与所得者等再生手続の認可決定確定後に将来給付の訴えの利益が認められ、再生計画の限度で請求が認められた事例

東京地方裁判所令和3年3月17日判決

2 事案の概要


本件は、借入れを返済できなくなり給与所得者等再生手続を申し立て、認可決定が確定した後に貸金請求事件の判決がなされた事案です。

給与所得者等再生手続が確定したものの、将来給付の訴えの利益を認め、再生計画に定められた内容を限度とした請求を認めた事案です。



3 判決の理由


将来給付の訴えの利益について

・債務者が、本件債権の返済を怠って期限の利益を喪失した上、本件再生手続の開始申立てに至ったことや当該申立てまでの約11か月の間、本件債権につき返済を怠ったこと

・給与所得者等再生手続では、再生債権の調査・確定手続は行われないから、再生計画認可決定確定後、再生債権者表の記載をもって、確定判決と同一の効力を有することにはならない

という理由から、将来給付の訴えの利益が認められるとしました。


請求内容について

再生計画認可決定がされ、それが確定したことから、再生計画で変更された債権額と、再生計画によって定められた方法による支払義務を負うことになる。


4 コメント


個人再生の認可決定が確定することによって、債権者の請求権は変更され、債権の一部が免除されることになります。

その後は再生計画に基づいた弁済がなされていくことになりますが、個人再生の申立て前に度々返済を怠っていたという事情などから、予め判決を取っておきたいとして訴訟提起をする債権者もいるようです。

今回紹介した事例では、以前に紹介した事例と異なり、将来給付の訴えの利益が認められるとしています。

これは、長期間にわたり弁済を停止していたことや、給与所得者等再生の認可決定には、確定判決と同一の効力が認められていないことによるものであると考えられます。

ただし、請求が認められる内容は、個人再生によって変更された内容になりますので、実際の返済等には影響はないと考えられます。


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この記事を書いた弁護士


弁護士 谷 憲和(大阪弁護士会所属)


弁護士登録以来10年以上にわたって、債務整理・自己破産・個人再生を取り扱っています。

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