官報ってなんですか?
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自己破産や個人再生をすると官報に掲載されてしまう
自己破産や個人再生をするときのデメリットとして官報に掲載されるということを見られた方も多いと思います。
そこで、官報とはいったいどのようなものなのか、官報にはどのようなことが掲載されるのかについて説明します。
1 官報とは
官報は、日本国が発行する機関誌・広報誌です。
官報の掲載内容については、官報及び法令全書に関する内閣府令に定められており、法律の公布や、公告が掲載されます。
官報は官報販売所で購入することができますが、インターネット版官報はこちらから見ることができます。
自己破産や個人再生にも、公告が必要な場合が定められているので、自己破産や個人再生をしたことが官報に掲載されることになります。
自己破産や個人再生の場合にどのような内容が官報に掲載されるのかについては、次以降にそれぞれ説明していきます。
2 自己破産の場合に官報に掲載される内容
自己破産では、破産法10条1項に、「この法律の規定による公告は、官報に掲載してする。」と定められており、公告が必要な場合には、官報で公告が行われることになります。
また、破産法10条3項には、「この法律の規定により送達をしなければならない場合には、公告をもって、これに代えることができる。」と定められており、送達の代わりに官報で公告がなされる場合があります。これを代用公告といいます。
以下、自己破産の際に官報で公告が行われる代表的なものについて説明します。
① 破産手続開始決定
自己破産は、破産手続開始決定によって始まりますが、破産手続開始決定がなされた場合には公告することとされていますので(破産法32条1項)、官報に掲載されることになります。
主文には、破産者の特定のために破産者の住所・氏名が記載されますので、住所や氏名が官報に掲載されることになります。
② 同時廃止決定
破産手続開始決定と同時に破産廃止決定をする場合にも、公告することとされています(破産法216条3項)。
この場合、破産手続開始決定と同時に決定がなされることから、官報にも同時に掲載されることになります。
③ 破産手続廃止決定
破産財団不足によって破産手続が終了するという破産手続廃止決定がなされた場合、公告することとされています(破産法217条1項・4項)。
この場合にも、官報に破産者の住所・氏名が掲載されることになります。
④ 免責許可決定
免責許可決定がなされた場合には、公告するという規定はありませんが、代用公告がなされますので、官報に掲載されることになります。
同時廃止事件の場合には免責許可決定のあったことだけが官報に掲載され、異時廃止決定がなされた場合には、破産手続廃止決定と同時に免責許可決定が掲載されることもあります。
まとめ
自己破産の場合には、上記のような場合に官報に掲載されることになりますが、同時に掲載される場合もあり、官報に掲載されるのは2回の場合が多くなっています。
3 個人再生の場合に官報に掲載される内容
個人再生は、民事再生の特則として民事再生法に定められています。
民事再生法にも、破産法と同じく、「この法律の規定による公告は、官報に掲載してする。」と定められており(民事再生法10条1項)、代用公告についても定められています(民事再生法10条3項)。
以下、個人再生をした場合に官報に掲載される場合について説明します。
① 個人再生の開始決定
個人再生の開始決定をした場合、公告することと定められていますので(民事再生法222条2項)、官報に掲載されることになります。この場合にも、住所・氏名が官報に掲載されます。
② 再生計画案を決議に付する旨の決定
小規模個人再生を申し立てた場合で、再生計画案を決議に付する旨の決定がなされた場合にも、公告をすることと定められていますので(民事再生法230条4項)、官報に住所・氏名が掲載されます。
③ 再生計画案についての意見聴取決定
給与所得者等再生を申し立てた場合で、再生計画案についての意見聴取決定がなされた場合にも、公告をすることと定められていますので(民事再生法240条2項)、官報に住所・氏名が掲載されます。
④ 再生計画の認可決定
認可決定は債権者等に送達することとされていますが、代用公告がなされますので、官報に住所・氏名が掲載されます。
まとめ
個人再生を利用する場合には、上記のような場合に官報に掲載されますが、小規模個人再生の場合、給与所得者等再生の場合に分けると、それぞれ3回ずつ官報に掲載されることになります。
4 官報に関するニュース等
官報に掲載された情報をまとめて破産者マップが作成されたことがニュースになっていました。
一度は閉鎖されたものの、海外で新たな破産者マップが作成されているようです。
新たな破産者マップに対しては、2023年1月11日に、政府の個人情報保護委員会が、運営者を個人情報保護法に基づき捜査機関に刑事告発したとのことです。
「破産者マップ」を刑事告発 個人情報保護委員会が初、運営者不明
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この記事を書いた弁護士
弁護士 谷 憲和(大阪弁護士会所属)
弁護士登録以来10年以上にわたって,債務整理・自己破産・個人再生を取り扱っています。
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